夜になると時計の音がでかくなる。うるさいくらい耳に着く。そのわりには針はあまり進まない。時計にしてみりゃそんな事いわれたくないよね。
あっという間に過ぎる時間とそこにとどまり続ける時間。
「あんたの気の持ちようだろう。俺らは休まず、いつもいつも同じ事を繰り返してる。君になんかできないでしょ。何かある度に立ち止まったり、振り返ったり、挙げ句のはては時のせいにして。いい気なもんだよね。解決の手段にも使っちゃうし。」
「うるさいなんて言わないで、今夜はゆっくりこの音聞いてなよ。チクチク、チクチク。朝の光が差し込めば、やがて消えていくよ。それまで、仲良くしようよ。大丈夫さ。よく見てごらん。よく聞いてごらん。昨日も今日も明日も、同じ音がしてるはず。」